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社労士が解説! 社員・パートなどの雇用形態別
<労働保険、年金・健康保険、所得税、有給休暇>

社労士が解説! 社員・パートなどの雇用形態別 <労働保険、年金・健康保険、所得税、有給休暇>

人が働くときには、働き方を選択する必要があります。これを雇用形態といい、その働き方を選択するということは、どのような立場や契約形態で雇用されるかを選択することになります。この違いにより、給与はもちろんのこと、福利厚生費の差など発生します。まず、この違いを理解して、どのような働き方が今の自分に一番合っているかを考えることが必要となります。

目次
1.雇用形態とは

一般労働者

パートタイム労働者(パート・アルバイト等)

契約社員

派遣労働者

業務委託

2.雇用形態による法定福利費 3.労働保険とは

労働災害保険

雇用保険

4.社会保険とは 5.所得税とは 6.有給休暇とは

算定期間

取得条件

1.雇用形態とは

雇用形態とは、企業やお店が従業員と締結する雇用契約の採用種別のことをいいます。大きな枠組みとして、「正規社員」と「非正規社員」に別れますが、「非正規社員」のなかでは、「契約社員」「嘱託社員」「パートタイマー」「アルバイト」など、名称を分けているのが一般的です。採用種別により、処遇・待遇の違いが出てきます。

このほかに、勤務している企業と直接雇用契約を結ぶ「直接雇用」、派遣社員のように勤務している企業と給与をもらう企業が異なる「間接雇用」という名称があります。

一般労働者

雇用期間を定めず(定年まで)1日8時間・週5日働く、一般的な雇用形態です。正社員・正職員等と呼ばれます。固定の月給で、厚生年金や健康保険、雇用保険に加入します。

給与体系

月給・年俸

厚生年金・健康保険

雇用保険

労災保険

パートタイム労働者(パート・アルバイト等)

一般労働者に比べ、1日の労働時間や週の労働日が少ない人を言います。短時間労働者と違い時間給で、条件を満たせば、厚生年金や健康保険、雇用保険に加入します。

給与体系

時給

厚生年金・健康保険

雇用保険

労災保険

契約社員

雇用期間を定め(3年まで)1日8時間・週5日働く、雇用形態です。固定の月給で、厚生年金や健康保険、雇用保険に加入します。

給与体系

月給・年俸

厚生年金・健康保険

雇用保険

労災保険

派遣労働者

派遣会社に所属し、派遣先で勤務する労働者です。派遣先の労働条件ではなく、派遣会社の労働条件にて労働します。長期間の派遣であれば、厚生年金や健康保険、雇用保険に加入します。

給与体系

給与体系

厚生年金・健康保険

派遣会社での加入

雇用保険

派遣会社での加入

労災保険

派遣会社での加入

業務委託

注文主から仕事を請け、仕事の完了をもって報酬を受け取る人です。インターネットのサイト等で、簡単に仕事を請けることが出来るようになりましたが、収入が不安定で厚生年金や雇用保険に加入が難しくなっています。

給与体系

随時

厚生年金・健康保険

雇用保険

労災保険

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2.雇用形態による法定福利費

雇用形態によって、企業やお店に雇用される場合、健康保険や雇用保険はどのようになるのでしょうか。健康保険や雇用保険などは、会計上法定福利費と呼ばれ、法律で定められた福利のために使用する費用のことです。

法定福利費には、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料などの社会保険料と、雇用保険料および労働者災害補償保険料(労災保険)からなる労働保険料があります。これらの保険料は、その種類に応じて、企業と従業員が折半して支払うこととなります。(※労災保険料は会社が全額負担、雇用保険料は一定の率)

勘違いしてはならないのは、社会保険や労働保険に加入することができる従業員は、雇用形態により決定されるのではなく、各々の法律に照らし合わせた要件を満たす働き方をしている従業員に適用されるということになります。

 

3.労働保険とは

労働災害保険

「労働災害保険」は、雇用されていれば全ての人に適用されます。「正規社員」「契約社員」「嘱託社員」「パートタイマー」「アルバイト」などすべての従業員に適用されます。但し、労災保険は労働者を守るための制度であるため、代表取締役、事業主や社長、業務執行取締役、監査役は労災保険の対象になりません。

雇用保険

週20時間以上かつ31日以上勤務する場合は、雇用主は従業員を正規・非正規社員問わず、「雇用保険」に加入させる義務があります。雇用保険に加入すると、給与から保険料をひかれますが、退職した後、差し迫って生活が困らないために給付される保険なので、給与明細を確認して、条件を満たしているのに加入されていなければ、会社に確認しましょう。

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4.社会保険とは

「厚生年金」「健康保険」を合わせて「社会保険」といいます。「社会保険」は、法律に照らし合わせた要件を満たす働き方をしている従業員に適用されますので、その加入要件を満たさなければなりません。まず、「社会保険」の基本的な加入条件は「労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上」の人は加入しなければなりません。

 

このように、基本的には、労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上で社会保険に加入になりますが、以下の5つの条件に当てはまると、正社員の4分の3未満の労働時間でも社会保険に加入しなければなりません。

 

( 1 ) 所定労働時間が週20時間以上

( 2 ) 月額賃金が88,000円以上

( 3 ) 勤務期間1年以上見込み

( 4 ) 社会保険の被保険者が501名以上の企業

5.所得税とは

所得税は、個人の所得に対してかかる国税で、1年間の所得にかけられる税金です。したがって所得がなければ所得税はかけられません。雇用されている人は給料から天引き(源泉徴収)されることで所得税を支払うことになります。

 

しかし、アルバイトやパートの方は収入が給料のほかに無く、収入が103万円以内ならば所得税はかからないことになっています。

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6.有給休暇とは

有給(年次有給休暇)とは、一定期間勤務した労働者に付与される、賃金が減額されない休暇のことです。休んでもその日の分の給与は支払われます。有給は正社員だけに認められた権利というわけではありません。アルバイトやパートタイマーといった労働者でも、一定の条件を満たすことで有給を取得することができます。

算定期間

算定期間は、雇入れ後最初は6ヶ月、あとは1年ごとの期間となります。有給を取得するためには、以下のような算定期間の条件を満たすことが基本とされています。

( 1 ) 雇入れ日から6ヶ月以上が経過

有給を取得できるひとつめの条件は、雇入れの日から起算して6ヶ月間、継続して勤務していることです。したがって、入社して半年間は有給休暇はありません

( 2 ) 算定期間の8割以上出社している

算定期間中の出勤率が8割以上であることです。

 

取得条件

有給の取得条件は、所定の労働時間・日数によって異なります。大きく分けると、以下の2つです。

( 1 ) 

週30時間以上、且つ週5日以上の場合、初年度は年間で10日間の有給が付与されます。勤続年数が増えることにより、取得出来る有給の日数も増えていくことが多いです。

まず、勤続半年で最初の有給が10日間付与されます。その後3年間は、勤続1年ごとに11日間、12日間、14日間と増えていくのが一般的です。以降は1年ごとに2日ずつ増やした日数分を勤続年数に応じて取得することが可能となります。ただし、有給はずっと増え続ける訳ではありません。上限は20日間とされています。

( 2 ) 

週30時間未満、且つ週4日以下または年間216日以下の場合は、別途、短時間勤務の場合の有給休暇の日数が定められています。

 

本記事の掲載内容は2019年4月時点のものです。
【監修:特定社会保険労務士 平井 貴子】
特定社会保険労務士

平井 貴子

年金相談・定年退職・人事労務管理を中心に幅広く活動。アパレルメーカー勤務から一転して、社会保険労務士として、平成18年に独立開業。現在、大阪市中央区に事務所を構え、顧客の人事労務管理のサポートを主に、年金相談、定年退職者向けセミナー等の講師も務める。

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